犬の代表的な病気
乳腺腫瘍
未避妊の雌犬に最も多く見られる腫瘍で、約半数が悪性です。乳腺にしこりができ、進行すると皮膚が破れたり、肺やリンパ節に転移することがあります。早期に発見して外科的に切除することが最も有効な治療法です。初回発情前の避妊手術により、発症リスクを大幅に減らすことができます。しこりが小さいうちに切除すれば予後は良好ですが、大きくなってからでは転移のリスクが高まるため、定期的な触診チェックが重要です。
肥満細胞腫
犬の皮膚腫瘍の中で最も多く見られる腫瘍です。見た目は赤い盛り上がりやイボのように見えることが多く、触ると柔らかかったり硬かったりと様々です。悪性度(グレード)によって治療法や予後が大きく異なるため、切除後の病理検査が非常に重要です。グレードが低ければ外科切除のみで完治することも多いですが、高グレードの場合は追加の抗がん剤治療や放射線治療が必要になります。適切な切除マージン(腫瘍周囲の正常組織)を確保することが再発予防の鍵となります。
リンパ腫
リンパ節や脾臓、肝臓など全身のリンパ組織に発生する血液系の腫瘍です。首や脇、後ろ足の付け根のリンパ節が腫れる「多中心型」が最も多く見られます。元気や食欲の低下、体重減少などの症状が現れます。外科手術では治療できないため、抗がん剤治療(化学療法)が主な治療法となります。適切な化学療法により、多くの犬で症状の改善と生活の質の向上が期待でき、寛解期間を延ばすことが可能です。
猫の代表的な病気
乳腺腫瘍
猫の乳腺腫瘍は約80〜90%が悪性で、犬よりも悪性率が高く進行も速いのが特徴です。転移しやすく、肺やリンパ節に広がることが多いため、早期発見・早期治療が極めて重要です。しこりが1cm以下の小さいうちに切除できれば予後は比較的良好ですが、2cm以上になると予後が悪化します。避妊手術(特に1歳未満での実施)により発症リスクを大幅に減らせます。広範囲切除(片側乳腺全摘出)が推奨されることが多いです。
乳腺の切除と同時に腋窩リンパ節の切除をする事が、腫瘍の再発、転移予防、予後判定に重要となります。
リンパ腫
猫で最も多く見られる腫瘍の一つです。発生部位により「消化器型(腸)」「縦隔型(胸)」「鼻腔型」「多中心型」などに分類されます。消化器型は高齢猫に多く、慢性的な嘔吐や下痢、体重減少が見られます。縦隔型は若い猫に多く、呼吸困難を引き起こすことがあります。猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)感染との関連も指摘されています。化学療法により症状のコントロールが可能で、特に消化器型の低悪性度リンパ腫では良好な反応が得られることが多いです。
扁平上皮癌
口腔内(特に舌や歯肉)や耳介(耳の縁)、鼻などに発生する悪性腫瘍です。口腔内の場合、よだれが増える、口臭がひどくなる、食べにくそうにする、口から出血するなどの症状が見られます。白猫では耳介や鼻の扁平上皮癌が多く、紫外線が発症に関与していると考えられています。局所での浸潤性が強く、完全切除が難しい場合もあります。QOL(生活の質)を重視した治療方針を立てることが大切です。