症例紹介

猫の甲状腺機能亢進症とは?

内分泌科

東大阪市、大東市、八尾市近隣にお住まいの猫の飼い主様、今回は「猫の甲状腺機能亢進症」に関する症状についてお話ししたいと思います。この病気は、特に高齢の猫に多く見られる疾患のひとつです。早期に発見し、適切な治療を行うことで、猫の健康を守ることができます。飼い主様がこの病気の症状を知り、適切に対応するためのヒントをお伝えいたします。

甲状腺機能亢進症とは?

猫の甲状腺機能亢進症は、甲状腺という内分泌器官が異常に活発になり、過剰なホルモンを分泌することで発症します。甲状腺ホルモンは、愛猫の新陳代謝を調節しており、その過剰分泌が原因で体の各所に異常が現れます。この病気は、主に中高齢の猫に見られ、早期に診断し治療することが非常に重要です。

猫の甲状腺機能亢進症の主な症状

1. 激しい食欲の増加と体重減少

多くは、急激な食欲の増加を示します。食べても食べても満足しない様子が見られることが特徴です。しかし、いくら食べても体重が減少するという逆説的な症状も現れます。これは代謝が異常に高まるためで、エネルギーが過剰に消費されるからです。


2. 激しい飲水と排尿

飲水量と排尿量の増加です。猫が急に水を大量に飲むようになり、その後頻繁にトイレに行く姿が見られることがあります。この症状は、過剰なホルモンが体の水分バランスにも影響を与えているためです。


3. 性格・活動の変化

普段は温厚だった愛猫が攻撃的な様子をみせたり、落ち着きなくそわそわとするような活動の亢進がみられることが多くあります。攻撃的になる場合、常にではなく何かしらのきっかけ(光の反射や不意に触れられる等)突沸するような攻撃行動がみられることも多くあります。


4. 並みの変化

毛並みの状態が悪くなることがあります。過剰なグルーミングによる全身の脱毛や、乾燥してボサボサになったりすることが多いです。猫の毛は健康のバロメーターでもありますので、毛の質が急に変わった場合には、早期の検査をお勧めします。


5. 拍数の変化

心臓にも影響を与えます。甲状腺ホルモンが過剰になることで心臓が異常に早く拍動し、心拍数の増加や不整脈が見られることがあります。時には、呼吸が早くなったり、胸部の動きが不自然に見えたりすることもあります。


6.嘔吐・下痢

甲状腺機能亢進症の診断方法

甲状腺機能亢進症の診断には、血液検査を行うことが一般的です。血液中の甲状腺ホルモン(T4)のレベルが高くなっていることが確認されると、甲状腺機能亢進症が疑われます。

また、超音波検査で甲状腺の状態を詳しく調べることもあります。 当院では、症状に合わせて最適な検査を行い、迅速に診断を下すことができます。もし愛猫の症状に気になる点があれば、早めにご相談ください。

甲状腺機能亢進症の治療法

1. 薬物療法 

抗甲状腺薬を使用することが一般的です。これにより、甲状腺ホルモンの分泌を抑制し、症状を改善することができます。薬の投与は飼い主様にとって負担となることがありますが、症状が軽度であれば、薬物療法で安定した状態を維持できます。 

2. 手術療法 

薬物療法が効かない場合や、症状が進行している場合(甲状腺がんなどの場合)には、甲状腺の一部を手術で摘出することが検討されます。 

3. 放射線治療 

甲状腺機能亢進症の治療方法として、放射線治療を選択することもあります。放射線を使って過剰に働いている甲状腺組織を破壊する方法です。この方法は薬物療法と手術の中間的な選択肢として、一定の効果がありますが、日本では一般的ではありません。

予防と早期発見の重要性

甲状腺機能亢進症は、早期に発見して治療を開始することが大切です。猫の健康を守るために、定期的な健康診断を受けることが予防の鍵となります。特に高齢の猫では、症状が目立たないこともあるため、飼い主様が日常的にブラッシングなどでコミュニケーションをとり、愛猫の食欲や飲水量、体重の変化に注意を払い、早期に異常に気づくことが重要です。

当院での治療とサポート

当院では、猫の甲状腺機能亢進症に対する豊富な治療経験を有し、飼い主様に寄り添ったサポートを行っています。東大阪市、大東市、八尾市にお住まいの飼い主様が安心して通院できるよう、必要な検査や治療法をご提案させていただきます。  猫の健康管理には、飼い主様のちょっとした気配りが大きな違いを生みます。甲状腺機能亢進症は早期に発見することで、猫の生活の質を大きく改善することが可能です。お困りの際は、ぜひ福井獣医科病院へご相談ください。